椿カヲリ先生による作品である『死神に嫁ぐ日』（KADOKAWA）
おとうさんとおかあさんが死にました。
つぎはわたしのばんです。
どうか…わたしの『しつぎ』をつくってください――。
あの森には『死神』が住んでいると言われていた。
何処から来たのかも、いつから居るのかも、誰もわからない…。
人とは一切関わらず、薄暗い森の中で、ただひたすら『棺』を作っているらしい。
人の形をしてはいるけれど、あの目を見ればすぐわかる。
アレは、人ならざる者の瞳…。
死を願う少女、初（うぶ）。
少女が出会った金色の瞳をした死神は、初が結婚をして子どもを産み、育て終えるまで殺さないというのだった――。
この記事はネタバレも含みますので、
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死神に嫁ぐ日のあらすじは？
両親を亡くし、育ての親も失った6歳の少女、初（うぶ）。
初は、自分も死ぬために、死神が住むという森に足を踏み入れました。
そこには金色の目をした男の人が住んでいます。
死神の名前は棯里（うつぎり）といい、黒猫のカンナと共に棺を作っているのです。
ウツギリに向かって、自分を殺してほしいと頼んだ初に、結婚して子供を産み、その子を育て終えるまで死なない、と告げます。
すると初は、「今からわたし、あなたのおよめさんになってもいいですか？」と言ったのでした。
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死神に嫁ぐ日のネタバレ・その後どうなる？
ウツギリと結婚したいと言った初でしたが、もちろん断られてしまいます。
しかし、初は何度も死神であるウツギリの元を尋ねました。
ウツギリを、本当に死神なのか、と観察していた初は、薪を割ろうとしたウツギリが、頬に傷を作り、それをすぐに治したところを目撃してしまいます。
「やっぱりあなた死神なのね」
呪っても食べてもいいから、殺してほしいと頼む初に、ウツギリは怒り「帰れ」といいました。
「生きる苦しみも知らんうちに、楽して死のうなんぞ考えるガキは反吐が出る」
初はそのまま森の中に入りました。
帰ったと思っていた初が、ウツギリのところへ戻ってきたのは雨が降ってきた時です。
思わず初の元へ駆け寄ったウツギリ。
初は、ウツギリが悲しそうな眼をしていたこと、そして自分が何を言ったのか、どんな言葉で傷つけてしまったのか、まだわからないでいる年齢だったのです。
息も絶え絶えな初を部屋に入れ、濡れた服を脱がすと、骨が浮き出ているのがわかりました。
低体温症と栄養失調、初の脈は止まり、ウツギリは「天国をみせたるわ」といって死神の力を使います。
初は今までの出来事を夢に見ていました。
両親が亡くなってしまったこと、育ててくれた親の事故、そして自分だけが生き残ってしまったこと。
次の日、初は目を覚まします。
そしてもう一度、死神の家を訪れました。
「また来たか、しつこいやっちゃの。」
いつ死ねるか、と尋ねた初。
初はその時もう決めていました。
「わたし決めました、やっぱりあなたのお嫁さんになります。」
ウツギリが欲しがるように、トリコにさせてみせると言った初。
死神であるウツギリが、当分死なないと言ったのだから、責任をとってほしいといい、初は「生きる」といいました。
当分のあいだ、死ぬために生き、ちゃんと生きて、死ねたら、ご褒美にウツギリの作った『棺』に入れてほしいのだと…。
そう言い終えた初は、まだ体力が戻り切っていないため、そのままウツギリにもたれかかるように眠ってしまいました。
初は6歳ながら、自分とウツギリとの婚姻届けを紙に書いて持ってきます。
「あとはあなたの名前を書くだけです。」
初はまじめに言いました。
ウツギリは「見届け人がひつようやな」といいます。
すると初はカンナの前足を掴み、肉球で判を押しました。
一緒に死亡届も書いてきたと言って見せてくる初。
なかなか名前を書いてくれないウツギリ。
元気をなくし、手書きの婚姻届けは愛想をつかした、と言った初。
初のために、ウツギリは本物の婚姻届けをもってきてくれるのでした。
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死神に嫁ぐ日を読んだ感想！
小さい少女に翻弄される、死神のウツギリがすごく可愛らしい作品です。
もちろん初のひたむきな「死にたい」と思う気持ちはとても悲しいものだと思うのですが、死ぬために、死神との結婚を願い、段々とその死神自信を知りたいと思うようになってくる姿は、とても可愛らしい恋の話でした。
ストーリーのテンポはゆっくりですが、その世界観が綺麗というか、素敵だなと思います。
ごちゃごちゃと他に登場人物はあまり出てこないので、二人の関係だけを純粋に突き詰めて読むことができました。
6歳だった少女は段々と大人になっていきます。
それでもウツギリに対する気持ちや、死にたいと思う気持ちには変わりありません。
これから美しく成長していく初と、それを見続けなければいけないウツギリが、どのような物語を描いていくのか、すごく楽しみです。
少しテーマがダークですが、どなたが読んでも面白いと思いますので、まだ読んだことのない方は、ぜひ一度読んでみていただきたい作品です。
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